「脇見恐怖症」とひとことで言っても症状はさまざまです。 当オフィスに来られる方に多い症状と、ご本人や周りの方に知っておいていただきたいことをまとめました。
脇見恐怖症の症状
脇見恐怖症の症状とは、簡単に言うと「自分の視線や意識などのせいで周りの人たちに何らかの不快な思いをさせ、迷惑をかけてしまうのではないか」と不安や恐怖にかられる症状です。
その結果として仕事や勉強、日常生活、人間関係でやりたいことができない、もしくは自分の本来のチカラを発揮できない状況に置かれてしまいます。
脇見恐怖症の具体的な症状(困っていること)として当オフィスに来られる方がよく挙げるのは次のようなものです。
- ・顔を上げて黒板やホワイトボードを見ることができない。授業を受けられない。
- ・試験中に隣の席が気になるあまり試験どころじゃない。カンニングと勘違いされるのが怖い。
- ・向かいの席や隣の席に人がいる状態で勉強やパソコン仕事ができない。
- ・就職活動ができない。人と関わる仕事がほんとはしたいのに、一人でできる仕事しか選べない。
- ・どこに視線を向けていいかわからないから複数人での会話ができない。
- ・電車やバスに乗れない。乗ったとしてもずっと目を閉じたままになってしまう。
- ・車の助手席に乗れない、人が隣に座っていると運転に集中できない。ほんとは教習所に通いたいのに諦めざるをえない。
- ・人とすれ違うのが怖くて街を歩けない。向かい側から人がくると道を変えたり下を向き続ける。
- ・交差点で信号待ちをしていると反対側にいる人や車が気になってしょうがない。
- ・視線のやり場に困るので人と一緒にエレベータに乗れない。
- ・異性のこと意識しちゃうと怪しく思われるのではと恐い。
- ・パートナーを見つけたいのに症状が怖くて諦めてしまう。
- ・人の集まりに出かけることができない。誘われても断ってしまう。
- ・ママ友の集まりやPTA活動を本当はしたいのにできない。
- ・人と関わる場面では手の震えや多汗、赤面などの身体反応が出てしまう。
- ・病院の待合室で人と同席するのが怖くて病院に行けずにいる。
- ・近くに座る人が気になるので外食ができない。行きたい店にいけない。
- ・店員さんや他の客が気になるので買い物できない。できたとしても商品棚をちゃんと見る余裕がない。
- ・お店での視線や挙動のせいで万引犯と間違えられるのではないかと怖い。
- ・美容室や床屋に行けない。
- ・隣の人や前の席の人に迷惑をかける気がするので映画館に行けない。
- ・家族とリビングで一緒にテレビを観たり、テーブルで食事を共にすることができない。
- ・自室から出ることができない。
このように、脇見恐怖症の症状が引き起こす悩みは日常生活や社会活動全般にわたっていると言えます。
実際、当オフィスに通われている方の半数以上は、脇見恐怖症の症状のせいで学校や仕事を辞めたり行けなくなったという経験を持っています。そういった経験のせいでより一層自信をなくしてしまい、次のチャレンジがますます怖くなるという連鎖が生じていることも。
また、脇見恐怖症は周りに人がいる状況で何かをすることにものすごく神経をすり減らすので、一日が終わるころにはぐったり疲れ切っているという方も多く、心の悩みだけではなく、ストレス要因による身体面での各種疾患へとつながることもあります。
脇見恐怖症の症状でお悩みの方とその周りの方へ
ここで一つ、悩んでいるご本人にもご家族にもここで理解して欲しいことがあります。
それは例え学校や仕事に行けなかったとしてもさぼっているわけではない、人の集まりを避けるようになったとしても本当は人のことが嫌いなわけではない、ということ。
しんどい中、苦悩しながら頑張って日々を過ごしているのです。脇見恐怖症の症状のせいでぐったり疲れるということは、それだけ頑張っている証拠でもあるわけです。
周囲からみる以上に本人の苦悩は深いのです。もしこれを読んでいるのがご家族の方だとしたらどうかそのことを理解してあげてください。
・「視線や意識などのせいで相手を不快にするなんて思い過ごしだよ」「考えすぎだよ」と言われても納得できない。
・「苦手な場面を避けてばかりいないで気合で慣れろ」と言われてもそれができないから苦しんでいる。
脇見恐怖症の当事者が感じる恐怖や不安の強さは周りの人からは想像もできないくらい強く、本人にとっては人生を左右するほどの深刻な悩みです。
実際、当オフィスに来られる方の中には自ら命を絶とうとした経験を持っている方もいます。本人からするとそのくらいしんどい状況におかれている場合もあるわけです。