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  • 2016.07.22

    ネガティブをリセットすることば。「あ、そうなんだ。まいっか。」

    セミナーや個人セッションでも度々「あ、そーなんだ。まいっか。」という言葉の持つパワーをお伝えしてきました。
    実際、この言葉を継続して繰り返すことで、対人恐怖、視線恐怖、脇見恐怖症などの症状が徐々に軽減していったクライアントさんやセミナー参加者の方も多いのです。

    この言葉の何がいいって、「ネガティブな思考・感情・感覚から受ける影響を大きくしない」
    ことにとても役立つんです。

    先日とある精神科医の方とお話しする機会がありました。
    その方はこうおっしゃっていたんです。
    「まいっか」という言葉には脳神経をいったん遮断する効果がある。なので、不安・恐怖関係の心の悩みを抱えている人にはとても効果がある言葉だよね。

    もう少しご説明しましょう。
    対人恐怖、視線恐怖、脇見恐怖症などの神経症でお悩みの方は、特定のシチュエーションに対し、恐怖や不安感情が過度に結びついてしまっています。もしくは、「どうせだめだ」「嫌われるに違いない」「もうおしまいだ」などといった思考が結びついてしまっています。さらには、そのシチュエーションで生じる顔のほてりやこわばり、手の震えなどの身体感覚を実態以上に大きく受け止めてしまっています。
    そして、これらの思考や感情や感覚が相互作用をもたらし、ネガティブがネガティブをよぶ負のスパイラルにはまりこんでいくのです。
    さらにいえば、こういった脳の神経回路を何か月、何年と毎日繰り返し使っているので、より一層、そのシチュエーションに対しネガティブな思考・感情・感覚が発動しやすくなってしまっているのです。
    このネガティブな感情・思考・感覚の悪循環をなんとかしたいところですよね。

    じゃあどうすればよいか。

    精神科医の先生がおっしゃっていたように「遮断」するのです。
    ネガティブなスパイラルにはまってしまった脳神経回路をいったん遮断し、リセットしてあげるのです。

    対人場面など特定のシチュエーションに対してのネガティブな感情・思考・感覚をなくそうったって、それはなかなか難しいです。
    そんなこと願ったとしても多くの場合、「なんで不安が消えてくれないんだ!」と怒りや失望が生じてさらにネガティブにはまりこんだり、「どうせ何やったってだめなんだ…」と無気力に陥ってしまうでしょう。

    ネガティブな感情・思考・感覚。それらが生じてしまうのは仕方がないものとして、まずはそれを遮断し、リセットしてあげることが大切なのです。

    そこで、
    「あ、そうなんだ。まいっか。」
    の出番です。

    ただし、コツがあるのです。
    まるで呪文のようにただぶつぶつ唱えたって、何か特別なご利益があるわけではありません。

    ここではそのコツを3つ、お伝えしましょう。

    コツ① ネガティブな感情・思考・感覚にちゃんと気づく

    ネガティブな感情や思考、感覚が生じたときにまずはそのことに気づいてあげましょう。
    恐怖、不安、怒り、落ち込み、悲しみ、さみしさといった感情。「この状況はムリだ」「嫌われてしまった」「もうおしまいだ」といった思考。緊張、ほてりやこわばりといった感覚。まずはこれらが生じた瞬間に気づきます。
    とはいえ、最初はこれがなかなか難しんですよねえ。ややもすると、かなり巻き込まれたりはまりこんでしまった後に気づくのです。火はマッチ程度の炎だったら簡単に消せますが、燃え広がってしまうとそう簡単に消火できません。感情・思考・感覚も同じです。なので、とにかく早めにちゃんと気づいてあげることは重要なポイントなのです。
    実は、この「気づく」力をつけるためのトレーニングがあります。それが皆さんにも度々紹介している「マインドフルネス」です。
    「あ、そうなんだ。まいっか。」の効果を高めるためにもマインドフルネストレーニングをおススメします。当オフィスでは個人セッション以外にも今後時折「マインドフルネス」の講座を開く予定ですので、ご活用ください。(⇒7/25開催予定)

    コツ② やさしい気持ちで

    ネガティブな感情・思考・感覚に気づいたら、まずは「あ、そうなんだ。」といったん認めてあげます。
    そんな気持ちに今はなっているんだね。そんな思考が浮かんじゃったんだ。そっかあ、手が震えてるかもしれないよね。こんな風に、やさしい気持ちで認めてあげましょう。「こんな不安消えてしまえ!」と怒っても逆効果です。特に感情は、ちゃんと認めてあげさえすれば、やがて変化していきます。
    そのうえで、「まいっか。」と声をかけてあげます。これもやさしい気持ちで。以前もお伝えした「微笑む」ぐらいの感じでもいいかもしれませんね。
    ネガティブなものがでてきたことに対し、自分を責めないでください。もしかすると自分を責めてしまい、さらにはその後に、「なんで自分のことを責めてしまうんだ!これじゃダメだ!」とか「ああ、やっぱり自分のことを責めてしまう…。どうせ自分なんか…」となるかもしれませんが、そのような時には、その責めてしまっていることに対して、やさしく「あ、自分を責めちゃう気持ちがあるんだ。そっか。まいっか。」と声掛けをしてあげましょう。

    コツ③ 継続する

    継続こそがチカラです。1回このことばを唱えたくらいで大きな変化が生まれることはないでしょう。これまで長い間をかけて培ってきた神経回路をリセットする作業です。「遮断しリセットする」というよりは「遮断し、リセットし続ける」ものだと思ってください。
    「マインドフルネス」を8週間続けると脳神経回路が変わってくるという研究結果が最近ずいぶんと知られるようになってきました。物理的にも、機能的にも、です。
    当オフィスのクライエントさんやセミナー参加者の方も、「あ、そうなんだ。まいっか。」を2か月くらい継続したあたりから効果を実感しだす方が多いです。
    継続しましょう。

     

    以上が「あ、そうなんだ。まいっか」のコツです。

    いつもお伝えしていますが、こういったことって、「知識」として知っているだけでは何も役立ちません。ぜひ実践してみてくださいね。それも「継続して」です。
    みなさんの取り組みを応援しています。

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